じまん、そのいち

人生50数年、こんだけ生きてると色々な経験話しにも事欠かない。俺には他に誇れる、質の高い自慢話が二つある、というか二つしかない【笑い】。。でもほんと? いや、マジそうなんである、いまだに誰も褒めてくれないけど。。

高校の時は学業以外では、サッカー漬け、毎日汗にまみれ埃りまみれでグランドでボール追ってた。そのころのほろ苦い話も、酸っぱい話も一杯ある、甘い話はほとんどない【笑い】。。叱咤激励どころか、叱咤、しった、シッタばかりであった。そんな中でも運動会、強歩などイベントはそれなりに楽しかった。まあそこら辺はまた書くとして、自慢のひとつは部活絡みなんである。

夏休みのサッカー部の練習は午前中、もう汗だく火が付きそうな状態である。ちょうど他の部も練習やってて、陸上部、野球部、水泳部等々。。俺らは早目に切り上げて学校に帰ってきて、水泳部の練習に乱入する、正確に言うと、そう、ちべたいお水に浸かるんである。水泳部の夏の練習、と言ったって、元気のいいのは初めの一時間ほど、後は水に浸かって涼をとってるだけという状態。そこに陸上部とサッカ−部が乱入するわけで、当時学校では珍しい 50mプールであった。元気のいい30人くらいが水の中でわあわあ騒いでるという状態、そのプール、手前の 25m は足も届くけど、向こう側の 25m は水球用で足が届かない。当然練習で疲れてるし、クロールで泳ぎまくるわけではないので、手前側でばしゃばしゃとまあ遊んでるんである。余談だけど、うちの高校はバンカラと言うか無茶苦茶と言うか、夏の体育の授業は水球だった。ひどいでしょ、考えられないよ全く。俺は泳ぎが得意でバリバリ泳げてたけど、水球と言うのは足も届かないところで他の奴と競り合ってボール取っておまけに瞬間だけ立ち上がって【気のせい】、ボール投げるんだ、あんな不自然できつくて、飲みたくもない水飲むスポーツ、水球以外やったことない。それが体育の授業で、元気がいいのは初めの5分、後はみんなゴールポストにつかまって休んでる。先生はと言えば、竹刀持ってプールサイドに置いた椅子に座って、こら泳げ、休むな、とのたまうばかり。。きつかったなあ。。体育の授業の後は眠くて眠くて仕方なかった。

とある日の練習後の水泳部への乱入、誰かが言いだしっぺなんだけど、潜ってどこまで行けるとか、やり始めた。当然我も我もとなるわけで、俺も 25mくらい潜水で行った記憶があるんだけど、みんな大体そんなもん。。っと、誰かが深い方を指差し、【あっ、あっち、誰か沈んでる!】と、もう上へ下への大騒ぎ、三年の誰かだったかサッカー部の先輩がその沈んでる人をプールサイドに引き上げた。

当時俺は二年で、バイク大好き少年、サッカー以外ではプライベートでトライアルなるものを本気でやってた。結構巧かったつもりなんだけど、親父からこれだけは守れるなら二輪に乗っていいと条件を付けてきた。献血と救命の講習は絶対にやれと。なんでかと言うと当時輸血は先ず献血した者が優先で行われていたらしく、万が一事故の場合で輸血が必要な場合優先順位が高いとの判断である。また救命講習も、知識として自分の引き出しが増えることと、他の人に直接有効なのでこれも受けてた方がいいとの判断である。当然やります、当たり前と二つ返事で始めてた。

学校側もバイク通学申請者には安全講習をということで、粋な計らいなんだけど、夏休みの直前に警察の白バイ隊の人たちが学校に講習に来た。グランドを使った実技の前に柔道場だったかと思うけど、人工呼吸と心臓マッサージの講習があった。そうプール事件の一週間前なんである。当時の人工呼吸は今の口うつし法と違い、うつぶせに寝かせて腕をくの字に曲げて、一、二、三で持ち上げ、三、四で背中を押す、という単純なものだった。そう、それがそのまま活きた。。

引き上げられた人を目の前に、誰もそんなん知らないし、おろおろするばかり。で勇気を持って俺やりますと、教えられたとおりやり始めた。ずいぶん長く感じられたけど、実際には3,4分と思う。心細くなってきた時に手足が痙攣し始めたと思ったら、うっと、水を吐いて意識が戻ったように感じられた、まだまだとやってたけど、ほんとは俺は精神的に限界で怖くなってた。水泳部のキャプテンのGさんが、代わるわ、と同じようにやり始めてくれた。彼も別で講習受けてたかどうかわからないけど、人工呼吸はうまくいったみたいで、即蘇生した。

いやもう、後から考えたら怖くなった、下手して助からなかったら思うと震えたし、だいたい今じゃ裁判もん。溺れた人は一つ先輩の陸上部のおお○まさんと言う人。騒ぎが収まったくらいに陸上部の顧問のやかましい【失礼】Yだ先生が来た。救急車も来て一軒落着だけど。。。

でも、俺は声を大にして言いたい。俺は誰からも、お礼言われてねえぞ!菓子折りももらってねえぞ!Oさん、わかっちょん?あんたの命は俺が助けたんやぞ!

まあ人一人助けたからちょっと自慢である。。。それでいい。。

二つのうち、もう一個はまた別の機会に。。。ちょっと書きづらいけどさ、、もう時効だしいいよな。。。